サンマリーナのいかにも民宿なおいしい和風朝食をいただき、
「そこど荘」でレンタサイクルを借り、いざ標高854mの八丈富士へ。
といってももちろんふもとまでだ。
そこから先はひたすら歩きで登る。登る。

照りつける暑さの中を時折、軽自動車が駆け上っていく。
そして、なんと自転車を押してあがっていく猛者たちも。

ふと振り返ると道の先には真っ青な海。

さらに登っていくと、舗装道路に白いホストが現れて
出迎えてくれた。 
ヤギ君はおそらく野生なのだろうが、
たまには人間に餌でももらうのか
落ち着き払っている。

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山も中腹まで登ってくると、上層部には霧が立ち込めている。
海から湿った空気を直接受け止めるので、
この山には雲がかかっていることが多い。

いよいよ中腹。

そこには素朴な「ふれあい牧場」がある。
濃くておいしいジャ―ジー牛の「八丈牛乳」の産地として歴史のある
牧場だ。
ここまで登ってきて、見下ろすと、左手に底土港、
真ん中に空港の滑走路、その奥に三原山をみて、
右手に八重根港と、島の胴体を一望に見渡せる。
まさにパノラマ・ビュー。

アスファルトの道路をひたすら登り続けてきたので
乾いた喉に2連発。
牧場ソフトクリームと八丈牛乳だ。

濃いのにしつこくない、ホルスタインでは味わえない
ソフトと牛乳で一気に元気が回復!
しばし、牛の表情とともに、島を見下ろす方向で風景を眺める。
ミニチュアのような滑走路や街の風景を楽しむことができ、また
大まかな土地勘もつかむことができた。

ここまであがってくると、風も涼しく心地よい。
海からの風が常に当たるので、雲も山頂にかかることがおおく、
この牧場付近は雲がかかるちょっと下の標高といったところか。

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来た道をくだっていく。
行きはきつかったが、帰りはラクだ。

それにしてもここまでよく登ったなあ~、と思いながら、
ふもとへと標高をさげていく。

ふもとに着くと自転車をとめてあったところからは
さらにすいすいと楽ちんで下っていく。

下りの勢いを利用して、そのまま空港を過ぎて、街の中心部を探検。



中心部といってもどこが中心部かわからないほど、シンプルで素朴。
通りに沿って、スーパーやらガソリンスタンドやらNTTやら。
このあたりが中心になるのかな。

ちょうど、その日の夜に、息子をおいて飲みにこようかと思っていた
Barの近くを通り過ぎているはずだ。

サーフボードを手入れしている青年に聞いてみた。
「あ、ここです。」
なんと、彼はその店の店員君であった。
夜にまた来ることを告げて、宿に戻る。



そもそもこの夏休みに八丈に来ることになったキッカケのひとり、
八丈出身のマイミクさんの「島はいいっすよ。是非!」とい言葉。
当時開いていた青山のとあるBarで八丈イベントにも参加し、
近いうち行きたいという気持ちはつのっていた。

一つ目の宿、サンマリーナの名前をあげたら、
オーナーをよく知っているという。
その日、行こうとしてBarのオーナーも。

サンマリーナのオーナーにmixiつながりの話をしたら、
友人を紹介してくれるという。

山登りで疲れた息子は宿で待機。

友人さんがクルマで迎えにくるまでに、もともとのマイミクさんに
その展開を、遅くなった「着きました!」報告を兼ねてケータイで話したら、
「僕もそいつを紹介しようとしていたんです!
 彼は遠い親戚で、とても頼れるやつなんで。」ということ。

またまた奇遇な八丈ワールドだ。



初対面ながら、ウマいかき氷の店に連れて行ってくれるという。
空間舎という、ガイドブックには載っていないアトリエ・カフェへ
連れて行ってもらった。
「黒蜜キナコスペシャル」はもはやかき氷の域を超えていた。
カフェで、行き帰りのクルマの中で、色々と話していると
島の人たちの感性、時間の流れ方、指向性などがなんとなく
伝わってくる。
間接的に色々共通なつながりもあったりして、楽しく話をさせていただいた。
このお店は気に入り、後日息子と再来することになる。



サンマリーナの夕食は、オーナー自慢のローカルな料理。
派手さはないが、素朴に、シンプルにうまい。
まさに、家庭に招かれて豪華にふるまってもらっている感じだ。



その後、申し込んでいた「夜の森ウォーク」。
今回の旅で唯一の「ツアー」だ。

ミニバンが迎えに来てくれて、他のファミリーと一緒にスタート。

まずは街灯のない田んぼの真ん中、と思われるところでミニバンを停車。

街灯さえもない。
車のエンジンを切ると、闇が訪れる。
頼りはガイドさんの懐中電灯のみ。

ほとんど手さぐりに近い状態でミニバンから降りる。
見上げるとそこには
星、星、星。

月明かりならぬ星明かりだけでも、目が慣れてくると
周辺がうっすらと見えてくる。

強力な懐中電灯で光の線が上空に吸い込まれ、
ガイドさんが星座の説明をしてくれる。
まるで天然のプラネタリウムだ。

さらに進んでいくと、小川の流れる音がかすかに聞こえてくる。


シーッ。


ゆっくりと。



ガイドさんのひそひそ声で、ここが蛍のエリアであるとわかった。
次の瞬間、黄緑色の柔らかい光がここに、そこに、あそこに。

「蛍って、点滅するんだ~。」
生まれて初めて見る本物の蛍に興味津々の息子。

確かに、これだけきれいに発光している姿を見るのは
何十年ぶり、いや、初めてかもしれない、この数は。

小川の音とひそひそ声と足音だけで暗闇の中を進んでいく。

数々の点滅ライトが飛び回る、非日常な空間だ。

夜の森ツアーの最後は、ミニバンで移動して、ポツンとある
島寿司屋の近くに停車。

はい、ここからスタートします。

滅多に往来のない道から一歩入ると、すぐに鬱そうと茂る森だ。

倒木をまたいで進んでいくと、はい、こちらです、とガイドさんの声。

暗闇の中に、ぼわ~っとキノコが光っている。

まるでその下から森の妖精でも出てきそうな光景。

ハッキリと光を感じるもの、小さなツブツブのような胞子群、などなど
色々な種類の光るキノコを見ることができた。

昼間は車が往来する道路から5分ほどの場所だ。
八丈の夜は、神秘の夜だ。



夜の森ツアーが終わり、サンマリーナへ戻る。

一休みしてから、息子はお留守番で、でかける。

こじゃれたバー、「もっこりひょうたん島」へ。

交通手段はもうタクシーしかない。

乗り込んで10分ぐらいだろうか、目的地に着く。

昼間見た印象とは違い、まわりはひっそりとしている。
ほんとにここでいいんだっけ、とちょっと不安になりながらも、
ドアを開ける。



カウンターの中の店員さんの白いシャツがブラックライトで
青白く光る。
お、ここは、島っぽくねえ~。が率直な第一印象。

あまりに自然の力を見せつけられていたので、
西麻布のようなブラックライトに一瞬とまどった。
しかし、それは見た目だけのことで、
ゆっくりしたリズムで店員さんと話していると、
これも八丈、とすぐわかる。
地元のお客さんもかなり多く、その割に
旅行客に冷たい雰囲気は全然ない。

昼間あったアルバイト君はまだ島に来てから数か月。
ちょっとぎこちないところもあるが、
気持ちいい青年だ。そして女性のバーテンダーが2名。

バーボンとナッツでゆっくりと飲んでいると、
しばらくしてマスターがやってきた。

ここを紹介してくれたつながりなどを話していると
色々とつながりがあることがわかった。
あのアーティストさんも訪れたらしい。

3杯ほどいただいて、ほろ酔い加減なところで失礼した。

帰りのタクシーはまた満天の星の下を宿へ向かって走って行った。