初めて行ったKIDDYLANDはこどもの頃。
トラッドファッション全盛時代はトレーナー買うのに行列ができ、
スケボーで滑ってると、暴走族の軍団が走りぬけ、
ヘンリーアフリカで高校生ながらにビールを頼んでみると
初代Walkmanを腰に下げた先輩が入ってきた。
オー!ゴッドで初めてのプールバー体験。
養老の瀧もここではJazzが流れていた。
渋谷とはまた違う、趣のある街。

そして最近ではクルマで通り過ぎることが多くなってしまった街。
OMOTESANDO。


表参道ヒルズの裏手に所要があって行くことがあり、
「少し落ち着いてから見に行こう」と思っていた
「第二のヒルズ」周辺もちょっと覗いてみた。

平日の午前中なのに、一眼レフを首にぶらさげた
おばあちゃんカメラマン集団を筆頭に完全に
観光地としての賑わいを見せている表参道ヒルズ。
手すりには「ここからの撮影禁止」という張り紙がある
定番位置からの携帯ワンショット。

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おそらく権利的な意味での「撮影禁止」ではなく、
通行上溜まると危険という意味での張り紙だろうが、
オープン当時はまさに「立ち止まらないでくださ~い!」
状態だったであろう。 
(その日、その時間は特に支障もない状況なので
ちょこっと失礼してしまった。)

表参道の顔であった同潤会アパートが取り壊される
という噂を聞いてから、ヒルズのオープンまでは
どのような変化を遂げていくか興味津々であった。 
安藤忠雄氏による、同潤会アパートの雰囲気を可能な限り残しつつ、
一流の商業空間にする・・・というデザインについては細かく触れないが、
ひとつ設計に愛を感じたところがあった。

それは公衆トイレである。

ほぼ青山通り側の端にあった(おそらく区営の?)公衆トイレが、
ほぼ同じロケーションにちゃんと独立した公衆トイレとして
存在していた点である。

表参道のスロープをゆっくりおりながら、あるいはあがりながら
ウィンドウショッピングしていく感覚(それはもはやアパートとしてではなく、
テナントとしてだが)は新生ヒルズにも残されているものの、
「あの場所にあった○○がここにこう残っているのか」
という意味では再現性は感じられない。
(旧アパートの壁や階段を再現したブロックがあるが、
これは「目に見えるカタチで再現しておきたい」という、
全体設計の一部であろうし、ありがたいと思いつつも、
想定されていたこともあり、驚きはなかった。)

しかし公衆トイレだけはそこにたしかに「存在」していた。

今までのトイレを利用したこともなかったし、
新しいトイレはすっかり現代的に洗練されたものになってしまったので、
懐かしさを感じることはないが、ひとつの存在としてのトイレを・・・
大きな建物に組み込んでしまうことは容易にできたはずの
公衆トイレとしての存在意義を・・・
大切にしていたことがとてもうれしかった。

「あ、同じ場所にちゃんとある。。」
この気持ちがうれしかったのだ。

残念ながら多くの人が行きかうなかで、
トイレの撮影をするわけにも行かなかったが、
機会のある方は一度見ていただきたい。。。


さて、モリハナエの向かいのマクドナルドの角を曲がり、
ロイヤルホストの隣のアペティートに久しぶりに、
ホントに久しぶりに行ってみる。

ここは変わってないだろうか。。。

まず、ロイヤルホストは窓の外から何気なく客層を覗いてみると、
今まではありえなかったおばさま、おばさま、おばさま。。

まあ、平日の午前中というよりも、西麻布で朝まで遊んだあとに
明け方まで過ごした(=20代中盤)のが中心だったので、
その当時の昼間は実はよくわからないのだが、
おばさま、ベビーカーを引いた若夫婦、おじいさん、おばあさん、
と今までの表参道、それも一本入ったところにいた
客層ではないだろう。

これを別に批判するつもりもない。「昔はよかった」と嘆くつもりもない。
商圏としては明らかに活性化し、街としてイキイキした感じがする。
「これが原宿か」と初めて見る方も、「20年ぶりだな」と思いにふける方も、
それぞれの表参道があっていいと思う。

人が増えてもマナーが低下したり、危険度が増したりしなければ、
表参道は第二創成期を迎えるのだと思う。

さて、話を戻すと、ロイホとなりのアペティート。
内装は変わってしまったが、昔から好きだった「バナナマフィン」の味は
変わっていなかった。
ふわっとしつつ、しっとりした表面と、ややもっさりと素材を感じる中身。
バナナの味わいとナッツ類のコンビネーションは相変わらず、
“小鼻がひろがる”おいしさだ。

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あのレストランがなくなってしまった。
あそこのブランドも今はもうない。
あれ、ここにあったはずの・・・
まあ、変わるのも無理もない。

一方で、
あのカフェバーまだあるんだ。
ここは全然変わってないな。
そして、バナナマフィンも変わっていない。

こういうものが、ほんの少しでも、変わらなければ、
僕にとっての表参道は基本的には変わらずに、
愛着を持てる街としてこれからも存在してくれる。