仕事が終わって時計に目を向けると、25時。
このまま帰っちゃ、今日は仕事だけの一日・・と
都合のいい言い訳をつけて
新橋の洋楽Bar Stay Up Lateへ。
いかにも新橋といった雑踏の中を通り過ぎた、とあるビルの3F。
誰かに教わらなければ、ここにBarがあることも、
こんなに居心地のいい空間があることも、おそらくわからないだろう。
階段を昇るにつれて聞こえてくる懐かしいサウンド。
まだオープンしてから約1年半のBarにしてはなぜか
年季が入っている気がする。。
たぶんマスターの想いが長かった分だけ、
年季を感じるのだろう。
30代中盤のマスターは、
15才の頃には年上の人たちの音楽のかかる店に通い始め、
「こんなBarをやりたい。」と決めていたという。
25才の頃には自宅で(当時は)レコードをかけ、
ドリンクを出し(ちゃんと有料で)、
疑似体験も行ない、その頃の友人が今も店の常連の中にはいるらしい。
そして幾つかのサラリーマン生活を経て、
2003年9月11日に夢のオープンとなる。
それ以来毎年9月11日は、
あの9・11と、誕生日と、店の開店記念日が重なる。
自宅で展開していたレコードをCDにかえ、
4200枚の洋楽の宝庫が客を迎える。
「えーとなんだっけ、○○の、初期のアルバムでヒットしたやつ。」という、
とてもリクエストとは呼べない僕の「リクエストめいたもの」にも、
「もしかして、これですか?」とCDを出してくる。
「ちゃんとした」リクエストなら早ければ5秒以内にCDがラックから取り出される。
当然ながらお客さんは僕など足元にも及ばない洋楽好きも多い。
そんなStayUpLateでは自分の音楽に対する関わりが少し変わった。
最も多感な高校生時代はまさにDISCOブーム。
アーティストで言えば、
Earth Wind&Fire、
George Benson、
Kurtis Blow、
Lakeside、
Herbie Hancock、
Michael Jackson
etc,etc
ブラックミュージックの全盛でもあった。
初めてDISCOの巨大スピーカーで聞くサウンドは
重くうねるベース、
突き抜けるホーンセッション、
絡まるカッティングギター、
そして鳥肌物のボーカルコーラス。
DNAに擦り込まれたブラックテイストは
そのままCDのチョイスになり、ブラック系の比率も高まった。
それが,ここStayUpLateでは、
当然ながら他のお客さんのリクエストがかかる。
ブラックに限らず、Top40系、AOR,ハードロック、R&B 。。。
BOSEのスピーカーで大きな(といっても心地良い)音であらためて聞く
「洋楽」は、そんな自分である意味思い込んでいた「ブラック傾倒」感を
覆してくれた。
チャックマンジョーネ、
シャカタク、
UB40、
デュランデュラン、
ボストン、
イーグルス、
ビリージョエル、
etc,etc..
ブラック系のこだわりもいいものだけど、
それに限らず、
こんないい曲、
あんないい曲、
あった、あった。
これも名曲、あれも名曲。
マスターが演奏中のCDを掲げてくれるジャケットを見れば
懐かしさで胸キュンもの。
お客さんのリクエストのおかげで、
洋楽の奥深さをあらためて味わうことができるのだ。
最近は常温のギネスを飲みながら、音楽に身を委ね、
たまにマスターやお客さんとの会話を楽しむという
スタイルが多い。
最後に。
そういえば聞いてなかったかも、とふと思い、
Stay Up Lateの由来をマスターに聞いてみた。
それは、彼の好きなトーキングヘッズの曲名で、
「夜更かしする」というその意味を知った時に
やたらカッコヨク感じ、店のコンセプトにも合っているということで
付けたそうだ。
常連の中ではSUL(サル)でも通っている。
Stay Up Late。
今宵も仕事のあとに、そう易々とは寝かせてくれない。